2010年12月23日木曜日

「世界経済」と「反システム運動」の狭間

ベンジャミン・バーバー(Benjamin R.Barber) 著
鈴木 主税 訳
「ジハード対マックワールド 市民社会の夢は終わったのか」
(原題"Jihad vs. McWorld How the planet is both falling apart and coming together and what this means for Democracy")

を読了。

「野蛮な資本主義」による「グローバリズム化」とそれに関連する事象を、マクドナルドやマッキントッシュの頭文字を取って「マックワールド」と命名したのは秀逸だが、それに抵抗する事象群を「ジハード」と呼ぶのは、ジャーナリズム的には上手い戦略なんだろうけど、分析概念としては今ひとつかと。

それに、「マックワールド対ジハード」という対立が二項対立ではなく、弁証法的関係なのはその通りだろうけど、それってウォーラスティンの「世界経済」と「反システム運動」の図式以上のものではない気がする。

ぶっちゃけ「アメリカの覇権による国際貿易体制」=「グローバリズム」だってのは所与の前提として、それが「民主主義」というイデオロギーと無関係だってのは当たり前なのに、「民主主義の危機」とか言われても余りピンと来なかったり(苦笑)

ただ、「映像・音楽メディアを中心とする大衆文化」=「ソフトパワー」においてもアメリカが優位なのは良いとして、日本の漫画・アニメを主体とした「オタク文化」の位置づけが気になる。

「クール・ジャパン」が誇大広告なのは当然としても、インターネットを通じて「映像・音楽を媒介としたオタク文化の浸透」は現実に存在する訳で、「マックワールドにオタク文化がタダ乗りしている」とみなすのか、「オタク文化もマックワールドの構成要素の一つ」と判断するかで、状況判断はかなり分かれそうな気がする。

個人的には、後者かな~とは思うが、「オタク文化」も「反システム運動」に政治利用しようとしてる勢力が散見されるようなので、事態はより錯綜して行きそうだ。

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