2010年10月9日土曜日

システム未満ー未完成の心

岡野 憲一郎
「心のマルチ・ネットワーク 脳と心の多重理論」
講談社現代新書

を読了。

心を説明する理論は多々あるが、

「複数のネットワークの集合体」

というメタ理論として提示するのは面白い試みだと思う。

特に重要なのが、

・中心が存在しない
・ネットワーク同士の関係は常に変動する
・個々のネットワークの振る舞いは、その構成単位の相互作用から創発する

という観点だろう。

私なりに要約すると、

「心はシステムではない」

ということになり、仏教でいう「無我」に近い。

また、ネットワーク同士の性質として、

「一つのネットワークの興奮は、それとは無関係なネットワークの興奮をむしろ抑制する傾向にある」

というものは、示唆的だ。

この仮説を飛躍させると、

「観(ヴィパッサナー)による自己観察ネットワーク構築による自己破壊的衝動ネットワークの抑制」

を基盤とし、

「自己観察ネットワークの拡大による各ネットワークの統合」=「涅槃」

ということになるかも。

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